厨房の塗り床仕上げについて

厨房の塗り床仕上げについて

厨房の塗り床仕上げについて(原田宗亮)

厨房の床仕上げは一般的に、
タイル仕上げ、塗り床仕上げ、セメント系仕上げの3種類があります。
それぞれ、メリット・デメリットがあり、用途に合わせて使用していただきたいと思っています。

まず、各種の仕上げのメリット・デメリットを比較してみましょう。

仕上げごとのメリットとデメリット表

表の中では上から初期コスト(施工時のコスト)が高いもの順に並べています。
(標準的な仕上げを考えています。エポキシの中でもグレードの高いもの、低いものと幅はありますので、あくまで目安としてお考え下さい。)

タイルは初期コストは高いですが、丈夫で滑りにくく、長持ちするため、
ランニングコストで見ると安くなります。
タイルが部分的にはがれたとしても比較的補修が容易に出来ます。
(夜補修して、次の日に使用するなど営業を止めなくてもメンテをすることがしやすい)

一方、モルタル仕上げは初期コストは安いですが、あまり長持ちしません。
ハケ等で滑り止めしあげにしても使用している間に、
ハケ目が削れて滑りやすくなってしまうケースもあります。
また、磨耗性が高くないので、凹みができ、そこに水が溜まってしまうことがあります。

厨房の床は清潔であることは勿論重要ですが、
バックヤードなのであまりコストをかけたくないのも正直なところだと思います。
お店の業態により、
コストと使い勝手、メンテナンス性のバランスをみて選んでいただくことが重要だと思っています。

軽飲食(喫茶店など)であればそれほどハードに使用しないため、
セメント系同時工法やエポキシ系、モルタル仕上げでも差し支えはないでしょう。
(場合により長尺シートなど張物仕上げのお店もあります。)

エポキシ系仕上げの厨房
エポキシ系仕上げの厨房の床

中華など油が多く、熱がかかるようなところだとタイルや硬質ウレタンが望ましいです。
うどん、そば等熱湯を厨房に直にこぼすような業態の場合は、
やはり耐熱性の高いタイルや硬質ウレタンをお勧めしています。

タフクリート
タフクリートの厨房の床

当社の経験にはなりますが、
耐熱性のあまり高くないエポキシ系で施工した厨房では、フライヤーの周りや熱湯をこぼす釜の廻りなどに、
1年程度で剥がれがおき、メンテナンスをするケースが頻繁にありました。
エポキシの場合施工をするのに下地の乾燥が必要なため、
床を洗浄してから、バーナー等下地をあぶり、水分を飛ばしてから施工するのですが、
なかなか水分を飛ばしきれずに、またすぐ剥がれてしまうということも多かったです。
施工後、強度が出るまでにも時間がかかるため、剥がれることもありました。

エポキシ剥がれ
エポキシ剥がれが起きた状態の床のアップアングル

エポキシ剥がれ
エポキシ剥がれが起きている状態の床

このようにエポキシ系だと耐熱性が低いこととメンテナンス性があまりよくないため、
当社では今現在、塗り床の場合は硬質ウレタン系仕上げをお勧めしています。
硬質ウレタン系は初期のコストはあがりますが、
耐久性・耐熱性に優れているため、
1年、2年で部分補修に呼ばれるということは今までありません。
一般的なエポキシ系塗り床の耐熱温度は60℃程度なのですが、
硬質ウレタン系は80℃~120℃あります。

そのため、元請さんも床仕上げのクレームで呼ばれる機会がまったくなくなったので、
切り替えていただいたところには非常に好評でした。
硬質ウレタン系の難点は施工の難易度がエポキシに比べ高いことです。
硬質ウレタン専用のミキサーを使うことや攪拌する材料の順番、施工の手順、
仕上げ方などエポキシとはまったく違うものなので、エポキシ仕上げに
なれた業者さんでも硬質ウレタンはまったく別物ですので、一から覚えないと出来ません。
当社の職人も10名以上メーカーさんの講習を受け、
試験施工を行ってから現場に携わっています。

床施工の講習の様子

鏝で床施工をする講習の様子

硬質ウレタン系の特徴は

・塗り床の中でも塗り厚が厚い事
・欠込目地を入れること

です。

塗り厚が厚いので、エポキシに比べ丈夫で長持ちします。
下地に欠込目地を入れて施工するので、プライマーが不要ですが、
下地にがっちりと食い込み、剥がれる事がありません。

欠込目地
欠込目地

メンテナンスが少ないという実績もありますし、塗り厚、施工法からしてみても、
施工者である我々が丈夫な塗り床だと安心してお勧めできる商品です。
(当社では現在㈱エービーシー商会のタフクリートMHという商品を推奨しています。耐熱水温度100℃~120℃)

ABCタフクリートのHPはこちら
ABC紹介:タフクリート
http://www.abc-t.co.jp/products/material/floor/gouseijushi_kinou/product/9009.html

まとめですが、
まずはお店の業態からどの程度のグレードの厨房床仕上げが適しているかを検討していただき、
ハードな使用をされるところはタイル仕上げ、
軽飲食であれば塗り床、セメント系がお勧めです。
中程度の使用をされるところで今までに床仕上げの剥がれが多かった業態や、
そばうどんなど熱湯を使用されるところは硬質ウレタン系仕上げをお勧めします。

お客様によいサービスを提供するために重要なバックヤードである厨房。
その床の仕上げをこの機会に再考してみていただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

 

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有限会社原田左官工業所
113-0022 東京都文京区千駄木4-21-1
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