職人の年季明け制度

職人の年季明け制度

職人の年季明け制度(原田宗亮)

 

4月になり、日に日に暖かさが増してきて、現場作業もだんだんと動きやすくなります。
当社でも新入社員が入ってきて、何かフレッシュな気持ちになりますね。

今回は以前のメルマガでも紹介している「職人の年季明け制度」について
違う角度からお伝えしたいと思います。

過去の年明けについての記事はこちら
メールマガジン:職人の年季明け(年明け)披露(原田宗亮)
http://www.haradasakan.co.jp/magazine/magazine201005/

今年は4月4日に当社にとって大切な行事である「年明け(ねんあけ)披露会」が開催されました。
「年明け披露会」とは年季が明け(見習い期間が終わり)、
職人として一人前になった人を会社全体でお祝いする会です。

そもそも年季とは、奉公をする約束の期限のことを言います。
元来、職人や芸人など自分に技術を身につける職業では、技術を教わる代わりに下働きをして手伝い、
技術拾得の費用を労働によってまかないながら覚えていくのが当たり前のことでした。

奉公して技術を教えてもらう期限のことを年季と言っていました。
親方やその業界により奉公する期限はバラバラで、
4年間見習い期間でプラス1年お礼奉公することで1人前として認めてもらうなど制度も様々です。
(看護師の業界でもインターンで来た病院にお礼奉公するというような話を聞いたことがあります。)

漆の輪島塗の業界で年季明けについて書かれていますので、HPをご紹介します。
http://shofu.pref.ishikawa.jp/shofu/wajima/asu/asu_jyu.html


今の時代、芸人さんの世界では残っている風習かもしれませんが、
建築業の職人で労働を提供するというところまで厳しいものは残っていません。
当社の場合も、
見習い期間もその後職人になってからも社員ですから、ちゃんと給料を貰いながら教わります。

昔の年季明け制度も

・1人前と認めてもらえるまでに我慢の期間があった
・見習いと職人の待遇の違いがものすごくあったため、つらくても職人になる事を目指せた

というような良い部分があったと思います。

当社では、その良い部分を残して、今でも年季明けの制度をつつけており、
年明けのお祝いを全員で行っています。


全員での記念撮影

当社は現在、見習い期間を4年間と定めています。4年間が終わると職人の仲間入りが出来ます。
左官の仕事は奥が深いため、4年で全ての仕事ができるようになるわけではありませんが、
4年間でようやく職人の入り口に立てるという考えで育成をしています。


今回年季が明けたEさんと先輩 OJTの模様

4年間という区切りが現代の若い人にも合っているようです。
やはり、技術を覚えるにはあせらず時間をかけて、繰り返し覚えなければいけません。
技術は一度出来たからおしまい、というものではないので、
どんな状況でも同じクオリティーで出来るよう、繰り返し鍛錬を積まなければならない、
それには経験・時間が必要です。

覚えの良い見習いさんは当然、どんどん出来るようになりますが、
飛び級は無く、全員4年間を経験してもらいます。
見習い期間では失敗をすることも重要なことで、
今のうちに小さなチャレンジして小さな失敗を繰り返し、
職人になった時に大きなミスを出さないようにしてもらいたいと考えています。

また、見習い側も4年間がんばるという目標があるのがよいようです。
本来、職人は一生修業、一生をかけて技術を磨いていくのですが、
今日入社した20歳の若者に「これから一生修業だからな」と言っても
先が長すぎて、自分がどこを目指せばよいのか想像できない。
それが4年間頑張って、年明けのお祝いをされるようなりなさいというと直近の目標ができ、
また、毎年、年明けする先輩がいるので、自分の4年後の姿のモデルがあり、
どのように頑張ればよいか分かりやすいようです。

今年の年明け披露会の模様









日本はこれから、どこの業界も職人不足になります。
今から職人を育成していかなければ、今までのジャパンクオリティーは保てないと思います。
今から未来の職人を育てていきたいと思います。



最後までお読みいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

お問合せ先

有限会社原田左官工業所
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