左官職人ってどんな仕事をする人?

投稿日:2022年08月10日 (水)

今回は左官の仕事を改めて説明します。
左官の説明から左官職人のなり方、これからの左官についてお伝えします。

  1. 左官にはどんな仕事がある?
    ・左官職人の仕事
    ・タイル職人の仕事
    ・工事管理の仕事
    ・倉庫管理や業務部門など、現場以外でのお仕事
    • 左官が必要とされるのはどんな場所?
      ・ビルやマンション
      ・住宅
      ・店舗
      ・建築物、歴史ある建物など

    • 左官職人が使う道具の紹介
      ・どんな道具や種類があるか
      ・それぞれの道具の使い方(使用目的や用途)

    • 左官の技術はこんなところにも使われています
      ・テーマパーク
      ・道路
      ・駅

    • 左官職人になる方法
      ・学校に通う
      ・見習工として働きながら学ぶ

    • これから左官の未来
      ・左官は3Kなのか
      ・これから求められる左官のスキル
      ・自然素材だからこその左官が提供する価値

    • まとめ

    左官職人ってどんな仕事?

    鏝で壁を塗っている左官職人さん


    外壁や内装などに、漆喰やセメントモルタルを塗る必要がある場合に活躍する左官職人。建築や土木業界では高いニーズがある専門職ですが、具体的にどのような仕事をしているのかイメージしにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
    そこで本記事では、左官職人の仕事内容や仕事道具の一例、左官職人になるための方法も含めて詳しく解説します。

    左官にはどんな仕事がある?

    左官鏝で左官材料を混ぜて掬い取っている


    左官とは一言でいえば、建設現場において「鏝(コテ)」とよばれる道具を用いて壁や床の下地、または仕上げなどを担う職人のことを指します。しかし、左官の仕事をより詳しく見ていくと、現場によってもさまざまな業務に分類されます。

    床・壁の下地塗り

    左官としてもっとも代表的な仕事が床や壁の下地塗りです。建物のコンクリート躯体の部分にセメントモルタル等を塗り平面にする作業を行います。平滑にした後は他の業者がシートやクロス、塗装など仕上げを行います。言わば下地の仕事で、一見地味に思われがちですが、どんな状態でも左官で平滑にするのは熟練の技術が不可欠です。左官の中でも重要で、奥が深い仕事です。

    タイル張り

    主に浴室や洗面所、トイレなどの水回りに多く使用されるタイル貼りですが、この作業も左官職人の仕事でもあります。タイル張り工事は明治時代にその技術が日本に入ってきて、始めは左官職人がタイルの仕事も手掛けたそうです。今ではタイルの専門工事店がありますが、左官とタイルは親戚のような関係。左官の仕事、タイルの仕事、両方できる職人さんもいますし、専門の人もいます。タイルの仕事は100%仕上げの仕事、完成後の見た目にも大きく影響する大事な仕事です。

    工事管理

    左官職人としてキャリアを積んでいくと、複数の職人をまとめ上げる工事管理や若手職人の育成などを担うケースもあります。この業界では番頭さんと呼ばれる仕事で、会社を取り仕切るポジションです。部長、専務など重要な役職に就く人もいます。

    倉庫管理や業務部門など、現場以外でのお仕事

    左官の材料は20~25kgが標準の重さ、作業には大量の漆喰やセメントなどを使用します。そのため、規模の大きい事業所になると倉庫管理も重要な仕事といえます。また、現場の作業進捗に合わせて職人をアサインするなど、現場以外での仕事もあります。

    左官が必要とされるのはどんな場所?

    床を施工中の2人の左官職人さん


    左官工事は私たちの身近なところで行われており、建物を建設するうえで左官職人は欠かせない存在です。では、具体的にどのようなところで左官工事が行われるのか、4つの代表的な例を紹介しましょう。

    ビルやマンション

    鏝で壁を塗っている左官職人さん


    ビルやマンションなどの外壁や内壁、床、玄関などの施工において左官は欠かせない作業です。特に高層ビルやタワーマンションなどの大規模な建物は「野丁場」とよばれます。
    ビルやマンションは数十年以上にわたって維持されるケースも多いことから、外壁の補修作業などにおいても左官職人は活躍します。最近ではエントランス部分を左官で模様を付けるなど活躍の場面が広がっています。

    住宅

    鏝で壁を塗っている2人の左官職人さん


    個人の一般住宅や小規模なアパートなどの現場は「町場」とよばれます。ビルやマンション、店舗と同様に、建物の外壁や内壁、玄関、浴室、床まで、多くの場所を仕上げるために左官職人は欠かせません。今は漆喰・珪藻土に代表される室内環境を良くする調湿効果のある左官仕上げが再注目されており、室内で左官の仕上げをすることが増えつつあります。

    店舗

    鏝で壁を塗っている左官職人さん


    店舗の外壁や内装などの施工にも左官の技術は欠かせません。店舗の床を平らにすることから左官仕上げ工事まで幅広く仕事があります。キッチンがある飲食店では厨房の床を作ることも左官ならではの仕事です。
    常に衛生的に保たれるように排水口に向けてセメントモルタルで勾配を取ることは材料を鏝で塗り左官だからこそ出来る仕事です。
    最近では店舗に左官仕上げが採用される例が多くなっており、現場で人の手で塗る左官仕上げがお店のオリジナリティを出すために役立っています。

    城や土蔵、歴史的建造物など

    江戸末期から明治以降に建てられた土蔵は左官の技術が詰まっています。蔵の扉の部分は左官が土と漆喰で塗りこめ、隙間が無いように見事に仕上げます。また、姫路城に代表されるお城も左官で仕上げています。外壁に漆喰が塗りこめてあり、白鷺城と言われる白く美しい建物になっています。
    歴史と伝統のある建物を昔ながらの工法で直し、仕上げていく。歴史的な建造物を復元したり修復したりする際にも左官職人は活躍します。

    左官職人が使う道具と使い方

    左官材料が乗っている鏝板と左官鏝


    ※引用元:写真AC

    左官職人はさまざまな道具を用いて漆喰やセメントを均一に塗っていきます。熟練の技を支える左官の道具にはどのようなものがあるのか、基本的な使い方もあわせて詳しく解説しましょう。

    鏝(コテ)

    左官作業に欠かせないもっとも代表的な道具が鏝(コテ)です。持ち手の先に薄い金属製の板が付いている形状が一般的で、漆喰やセメントを均一に伸ばすために使用します。
    なお、一口にコテといってもさまざまな種類があり、セメントの仕上げには木ゴテ、タイル貼りにはレンガゴテなど、複数の道具が使い分けられています。

    鏝板

    コテをセットで使われることが多いのが、コテ板とよばれる道具です。漆喰やセメントなどを塗るときに、材料をコテ板に乗せてコテで適量をすくい上げてから塗っていきます。

    トロフネ

    トロフネとは、漆喰やセメントなどの材料を練るために使用される容器のことです。トロフネは四角い形状をしているものが多いですが、補修作業などで使用する材料が少ない場合にはバケツなどを代用することもあります。

    ひしゃく

    トロフネやバケツで練った材料を、コテ板に取り出す際に使用するのがひしゃくです。キッチン用品のおたまに似た形状をしていますが、コテ板に適量を取り出せるようサイズは少し大きめです。

    クシ目ゴテ

    デザイン性の高い漆喰やセメントの壁を仕上げる際に使用されるのがクシ目ゴテです。その名の通り、クシのように先端が凸凹しており、これを使って材料を塗ることで均一の筋が入った壁に仕上げられます。

    左官の技術はこんなところにも使われています

    左官の技術は建物の外壁や内装などに多く活用されていると紹介しましたが、実はこれ以外にも意外なところで使用されています。

    テーマパーク

    モルタル壁に彫刻を施している2人の左官職人さん


    テーマパーク内にはいたるところに花壇や看板などが設置されていますが、これらの土台や囲いなどを作成する際に左官技術が活用されることがあります。たとえば、レンガを積み上げて花壇を作ることもあれば、セメントの枠を作ってその上に看板を設置するケースもあります。
    また、特殊なモルタルで壁を作った後、彫刻を施すことで独特の世界観を演出するモルタル造形は、アトラクションのセットの一部にも用いられています。

    道路

    一般道から高速道路まで、あらゆる道路はつねに自動車の往来があり、高い圧力がかかることからヒビや割れ、コンクリートの剥離などが生じることがあります。道路の一部にこのような不具合が見つかった場合、コンクリートをピンポイントで埋めて平らに仕上げる作業が行われます。

    不特定多数の利用者が往来する駅は、電車に乗り降りするためのホームや階段、内壁などにコンクリートやモルタルが使用されています。誰にとっても歩きやすく、電車への乗り降りに支障をきたさないようにするためには、熟練の左官技術が不可欠です。

    左官職人になる方法

    鏝で天井を塗っている左官職人さん


    住宅やビル、商業施設をはじめとして、社会のインフラを影で支えている左官職人は、やりがいを感じられる仕事でもあります。では、実際に左官職人として活躍するためにはどのような方法があるのでしょうか。代表的な2つの方法を紹介しましょう。

    学校に通う

    壁塗り訓練中の大勢の左官見習いさん達


    ひとつ目は、学校に通って左官技術を学ぶ方法です。各都道府県には職業訓練校・職業訓練センターがありますが、ここでは左官に関する技術を学ぶことができます。訓練科名は学校によっても異なりますが、「左官科」や「タイル施工科」などが代表的です。
    また、職業訓練校以外にも、左官技術を学べるカリキュラムを提供している民間の専門学校もあります。また、原田左官独自の取り組みとして入社後、東京左官育成協会という新人育成所で左官の訓練を受けることもあります。

    見習工として働きながら学ぶ

    ふたつ目は、学校に通うのではなく、見習工として左官の会社へ就職し、仕事をしながらスキルを身につける方法です。実践を通して学ぶことで短期間にスキルを身につけられ、何よりも収入を得られるメリットがあります。
    ただし、未経験者の場合、人手に余裕のない施工会社では雇ってくれないケースも考えられます。

    これから左官の未来

    左官職人という仕事は古くから存在しており、長い歴史を誇ります。一方で、建設や土木工事の現場は機械化が進んでおり、かつてのように多くの作業員・職人がいなくても作業が滞りなく進められるようになりました。
    また、左官の工法は水で練ったものを塗る湿式工法と言われます。人の手に塗って仕上げるため、均一化しにくい、時間と費用が掛かるものとされ、近代の建築工法からは外されることが多くなってきています。
    そのような背景もあり、今後左官職人の需要はなくなっていくのではないか、と不安に感じる方もいるでしょう。そこで、これからの左官の未来について詳しく解説します。

    左官は3Kなのか

    砂袋を肩に担ぐ左官職人さん


    左官の仕事は高度な技術だけでなく体力を要し、「3K(きつい・汚い・危険)」に該当する部分も確かにあります。ネガティブなイメージが先行しがちな職種ですが、左官は社会インフラを支える仕事であることは事実であり、左官職人という仕事が今後なくなる可能性は低いといえます。

    これから求められる左官のスキル

    人々のライフスタイルが変化するなか、左官職人に求められるスキルや能力も変わってきています。
    左官職人として基本的なスキルを磨くことはもちろん重要ですが、それに加えて住宅に住む人のニーズを汲み取れるかという点も大きいです。たとえば、デザイン性の高い外装・内装にこだわり、オリジナリティのある意匠を施したいという依頼者も少なくありません。そのような方のために、デザインに関する知識が求められることもあります。
    また、人の手だからこそ出来る左官仕上げの需要は年々増しており、お客様が求めるデザイン、模様を再現できる技術を身に付けた左官職人は活躍の場が広がっています。

    自然素材だからこその左官が提供する価値

    シックハウス症候群などの健康被害を防ぐために、あえてクロスではなく漆喰などの壁の施工を依頼する方もいます。化学物質によるアレルギーを考慮し、自然素材にこだわった左官作業の需要も今後増えていくと考えられます。

    まとめ

    住宅やビル、道路まで、私たちの暮らしを支えていると言っても過言ではない左官職人。決して目立つ仕事ばかりではありませんが、社会インフラを支えるという大きな役割があり、やりがいを感じられる仕事でもあります。
    もし、本記事を読んで左官という仕事に興味をもっていただいたら、訓練校への入学や見習工として就職・アルバイトを検討してみてはいかがでしょうか。

    原田左官工業所では異業種から左官職人になった方も多く、平均年齢は37歳と若いスタッフが活躍している会社です。

    新人講習やキャリアアップ講習などの社内研修も充実しており、これから左官職人を目指す方をしっかりとサポートしています。
    最新技術を習得するために海外研修に行く場合もあります。

    左官職人について興味があれば、先輩の声やどんな業務があるかなど、採用に関する専用サイトにて紹介していますので、ぜひご覧ください。

    左官未経験の方のこちらの記事もご参考ください。
    未経験からでも左官職人になれるのか?


    この記事を書いた人
    原田宗亮

    有限会社原田左官工業所代表の原田。
    二級施工管理技士/左官基幹技能者/タイル検定二級。
    (一社)日本左官業組合連合会監事及び青年部の副部長。
    左官の講習会やワークショップを企画・開催し、左官の啓蒙活動を行っている。
    建設業界のダイバーシティを推進し、女性の左官業界への参加の手助けや新しい人材の採用育成に力を入れている。
    著書に「新たなプロの育て方」㈱クロスメディアマーケティング
    「世界で一番やさしい左官」㈱エクスナレッジ

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