審査員をほとほと困らせた!_ タイルの祭典での特別賞作の製作舞台裏
こんにちは!タイル職人の時高です。
前回に引き続き2025年の11月に名古屋で開催されたタイルの祭典cerasta2025についてです。
私が今回、タイルの祭典cerasta(セラスタ)に参加することになったのは「スワールドカップ2025」というタイルチェアコンペティションにエントリーしたからです。

これはcerastaのイベントの一つで、椅子にタイルを張り、タイルの美しさやタイルならではの表現を競うデザインと技能のコンペです。
このスワールドカップ2025に作品を提出しました。
結果残念ながら大賞には至りませんでしたが、困〜るド賞(コマールド賞)をいただきました。(なぜそんな名前の賞なのかはブログ後半に)
今回は受賞したイスの制作過程についてお伝えします。
今回タイルを貼る椅子の座面の形がこちら!


トリスケルという形でタイルのように組み合わせることが可能。曲線の多い変な形ですが、すごく挑戦的でやりがいのある課題となっております。
私の作品の完成品はこちらです。

タイル一枚一枚を私が粘土から成形し自宅のオーブンで焼きました。
使用した材料はオーブン粘土と言われるもの。
家庭用のオーブンで焼くことが可能で、180℃程度の熱で陶器のような質感に。
これを使うと誰でもお家で自分のタイルを焼くことができます。
このタイル一枚一枚に目がついていて、鳥になっています。



タイル一枚一枚(一羽一羽)、大切に焼きました。
タイルには無数の魅力がありますが、その中でも役物が放つ存在感は格別です。
(役物とは角にそって形が変形しているタイルのこと)
みなさんも古い家のトイレやお風呂に使われているこのような形状のタイルを見たことはありませんか?

イスも役物を使って全てタイルで張り込もう!となり、製作考案スタート。
普段タイルをはっている壁や床に比べて、イスはもっと体に近く、手触りや座り心地など身体的感覚を感じるものなので、ピタッと合う形状にしたいと思いました。
しかし、このイスは形が特殊なため、この角に合うタイルを出来合いの販売されているものから見つけ出すのは難しい。
ならば、自分で作ろう!と、タイル自体を製作することにしました。
これが製作した自慢の役物です。

2方向に捻れています。
タイルが単色なので目地は様々な色の入った砂利を混ぜて洗い出し風にしてみました。

倉庫での完成写真です。

しかし!
オーブン粘土はセラミックではないので、なんと応募基準を満たしてませんでした。
それはこちらの確認ミスなのでしょうがないことなのですが、ありがたいことに審査に上げていただき、特別賞をいただきました。
審査員からの講評の一部がこちら。
「芸術性や情緒性において優っていることを評価し、ベストな作品であることに変わりはなく「ベストスワールド」の称号は与えられないが、審査員や実行委員をほとほと困らせたということで「ベストコマールド」を授与しました。」

募集要項の条件を満たしていなかったにも関わらず審査の場にあげていただき、賞までいただいたこと、この場を借りて感謝したいと思います。
タイルの強度としてはセラミックには遠く及びませんが、オーブン粘土でもタイルのようなことが出来る。タイルの可能性を色々と探れそうな気がしています。
皆さんも一度、オーブン粘土を使って、マイタイル製作してみてはいかがでしょうか?
以上、タイルの祭典とスワールドカップ2025に参加したことについてでした。
この記事を書いた人
有限会社原田左官工業所 工事部タイル職人 時髙喜佐
一級タイル技能士,二級左官技能士
大学で建築を学ぶうちに、実際に体を動かして物をつくる仕事の魅力を感じ、職人の道に進む。
趣味は編み物、読書、登山、椅子作りなど多岐に渡り、趣味が多すぎて「働いている場合ではないのでは…?」と思うほど。しかしその趣味がものづくりへの情熱につながり、仕事にも活かされているはず!























