原田左官ブログ

アップサイクルと左官を考える

アップサイクルと左官を考える

投稿日:2022年06月30日 (木)

代表の原田です。
今回はアップサイクルについて私なりに感じたことをお伝えします。
アップサイクルとはリサイクルから発展した考え方で、捨てられるはずだったものに付加価値を加えて新しい製品にアップグレードすることです。

廃棄予定だったテントの素材がバッグなどの製品として生まれ変わるなどが有名ですが、建築ではリノベーションもアップサイクルの一つだという見方もあるそうです。
そうやって解釈を広げてみると、横浜の赤レンガ倉庫は非常に良い例です。

横浜赤レンガ倉庫。参照元:横浜赤レンガ倉庫webサイト
(横浜赤レンガ倉庫 ※横浜赤レンガ倉庫WEBサイトより引用)

使われなくなった保税倉庫を赤レンガの建物を残しつつ商業施設としてアップサイクルしています。味のある赤レンガの風合いも良いし、何度も行きたくなる素敵な施設です。

そうやって考えるとこれからの建築はアップサイクルに関わることが多くなるのではないでしょうか?当社の近くでも木造の家をカフェに改装する、銭湯をギャラリーに変えるなど建物を壊さず価値を加えてリノベーションするという例が多くなっているなと感じます。

有名なところだと谷中のHAGISO。

谷中HAGISO外観
(谷中HAGISO)

萩荘という古いアパートをそのまま活かしながら改装し、カフェなどを入れた複合施設としてアップサイクルしています。

谷中HAGISO内装

谷中HAGISO内装

谷中HAGISO床

床を抜いて吹き抜けの空間を作る、木造の階段や木の柱がそのまま見える雰囲気が心地よく、何度も行きたくなります。

谷中HAGISO床

そういった建物のアップサイクルに左官は大いに活躍できるなと感じています。
漆喰や珪藻土、土壁は年数を経た建物の仕上げ材としてピッタリですし、隙間を埋める、壁の通りを良くする、床の段差解消、不陸調整は左官が欠かせません。

日本も高度成長期から50年以上が経ち、建て替えやリニューアルの時期になる建物が多くなってきています。古民家というほど歴史的な価値は無くても、今ある建物の佇まいや雰囲気を活かして新たな価値を生み出すというのもこれからの建築には必要な考え方ではないでしょうか?

建築のアップサイクル。
その中で左官は何が出来るかを社員さん、職人さんたちと考えていきます。


この記事を書いた人
原田宗亮

有限会社原田左官工業所代表の原田。
二級施工管理技士/左官基幹技能者/タイル検定二級。
(一社)日本左官業組合連合会監事及び青年部の副部長。
左官の講習会やワークショップを企画・開催し、左官の啓蒙活動を行っている。
建設業界のダイバーシティを推進し、女性の左官業界への参加の手助けや新しい人材の採用育成に力を入れている。
著書に「新たなプロの育て方」㈱クロスメディアマーケティング
「世界で一番やさしい左官」㈱エクスナレッジ

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