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左官のミライ通信

職人の年季明け(年明け)披露(原田宗亮)

投稿日:2016年02月29日 (月)

職人の年季明け(年明け)披露(原田宗亮)

年季という言葉があります。
古い言葉で今の時代にはほとんど使われることが無い言葉ですが、
我々職人の世界には今でも年季という制度が一部残っています。
そもそも年季とは、奉公をする約束の期限のこと。
その期限が終わることを年季が明けると言います。

職人や芸人など自分に技術を身につける職業において、
技術の習得にかかった費用や前借金を全て返し終わり、
独立できる状態になることを表した言葉です。
いまでは、昔ながらの奉公するような形式はほとんどありませんが、
大工、左官など建築職人の世界や輪島塗りなど工芸の業界では、
修行期間を終えた人をお祝いする習慣が残っています。
当社では、年季を明けることを年明け(ねんあけ)と言い、
4年間を見習い期間とし、見習い期間を終了した人を会社全員でお祝いしています。
今年は日暮里にあるホテルラングウッドで年明けの披露会をしました。

今年は4名での年明けでとても賑やかでした。


まずは社長の話。
「ストローで生のじゃがいもに穴が開けられるか?」
頭で考えてあきらめるのではなく、やってみる。やればできる。自分を信じてみようという話。
見事全員穴を開けられました。






次に今年年季明けをする4人からの謝辞。
一人一人、緊張しながらも、
今まで支えてくれた親や、師匠の職人さん、先輩たちに感謝の辞を述べます。






Fさんは見習い期間中に2人子供を産みました。
産休を取ったので5年間の見習い期間でした。
子育てをしながらの左官の修行は並大抵の大変さではなかったと思います。
ママさん職人の誕生です。


続いて弊社技術統括部長横山からの祝いの言葉。

会社、職人さん、いつもお世話になっている建材店さんからのお祝いの商品を渡します。
ますます腕を上げていってほしいという気持ちを込めて。



2年前から新しい試みとしてフォトブック(写真集)をプレゼントしています。

一人一人の入社してから今までの4年間の軌跡を追う本になっています。
4年前、顔つきも体つきを幼く、職人としてやっていけるか心配もしましたが、
4年間でみんなたくましくなりました。
本の1ページ目と最終ページでは別人のようにきりっとした職人になっています。








見習い期間である4年間を終えて、職人という呼ばれ方をしますが、
まだまだ身につけなければいけない技術はたくさんあります。
ようやく職人の入り口に立ったところ。左官道は長い道のりです。
今では高度な技術を持つ先輩も一度は通った道。
そのときの思いを胸にしながら今日という日を祝います。





現在、建築業界の高齢化が進んでいますが、
原田左官においては20代と30代が全社員の40%もおり、
左官業界でもいち早く世代交代に取り組んだ会社です。
現場で見かけたときは是非、声をかけてあげてください。


最後までお読みいただきありがとうございます。次号もお楽しみに。

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