「現代しっくい」現代の空間に合わせた昔ながらの漆喰
「現代しっくい」現代の空間に合わせた昔ながらの漆喰
今回は「漆喰の良さ」と「現代しっくい」についてお伝えします。
漆喰と言えば、誰でも耳にしたことはあると思います。
昔は必ず押し入れは漆喰、と言われたように日本家屋には欠かせない存在でしたが、漆喰が出来る人がいないなど施工の問題、値段が高いなどの価格の問題から少なくなっていった仕上げ材です。
しかし、現在でも漆喰の良さが見直されていて住宅や店舗、オフィスや病院・教育施設など様々な場所に漆喰が施工されています。
見直されつつある漆喰ですが、「漆喰のイメージ」というといまだに「お寺の壁」や「お城の城壁」など古い建物、伝統建築に使われる壁と思われている方が多いようです。
そのイメージを変えて、せっかく見直されている漆喰をより使いやすいものにするために、左官の団体である(一社)日本左官業組合連合会(略:日左連)がしっくいをPRしています。
漆喰というもの自体を、現代の空間に合う漆喰=「現代しっくい」と再定義し、新しいイメージをプラスして考えてもらえるようにしています。
日左連で「しっくいまるわかり大辞典」というWEBサイトを作り、漆喰の良さをPRしております。
https://sikkui.net/
併せて小冊子も作っています。
我々左官の団体である日左連が再定義した「現代しっくい」とは、漆喰の機能はそのままに、現代の空間デザインに合わせた漆喰です。
漢字の「漆喰」というとどうしてもカチッとした硬いイメージを持たれる方が多いので、ひらがなで「しっくい」と表し、「現代」と付けて「現代しっくい」という呼び名になっています。
今回はそのような現代の空間に合った漆喰仕上げ=「現代しっくい」についてお伝えします。
まずは漆喰(しっくい)のおさらい。
● 漆喰の主原料は石灰
漆喰の主原料である石灰は2億5千万年前のサンゴ虫類等が堆積したもの。
石灰は日本で枯渇しにくい数少ない鉱物と言われています。
日本でいたるところで石灰が採れるのは、もともと海だったからです。
●漆喰の特徴
漆喰の特徴は大きく分けてこの6つ。
空気中のCO2を吸収し、湿度を調整。消臭効果と抗菌効果があり、空気中の有害物質を吸着し、そして不燃である。
現代の室内空間に必要な機能がギュッと詰まった仕上げ材です。
そのような効果があるため、漆喰の空間だと空気が違う!と言われることもあります。
また、これから在宅ワークやリモートでも授業が推奨され、家にいることが多くなる時代において、室内の快適性はますます求められるのではないでしょうか?
そのため、漆喰は小さなお子さんのいる家庭や過敏症の方にはもちろん、
最近では保育所や学校、病院や福祉施設などにも多く採用されていて、
当社でも施工させていただいた例が多数あります。
この見直されている「漆喰」というものを、現代の空間で使いやすくしようと石膏ボード上に施工するシステムを確立し、全国統一の講習会を開くことで、
左官工事でありがちな施工者による仕上がりのバラツキを出来るだけ少なくして、ユーザーさんが漆喰を取り入れやすくしようとしています。
それが現代しっくいです。
具体的にはどのようなものかというと、このように柔らかい模様を付けた漆喰のことを「現代しっくい」と定義しています。
では現代しっくいの施工例を見てみましょう。
施工したのはこちらの住宅。
3階建ての2階・3階部分を漆喰で施工しました。
下地の状態がこちら。
下地は石膏ボード。工務店さんに説明をし、日左連で推奨している下地に準じた作り方をしていただきました。
石膏ボード下地のポイントは大きく2つ
1. ビスピッチを細かく止めてもらう
2. 継ぎ目の少ないようにボードを貼る
ポイント「1.」のビスピッチを細かく止めてもらう について、
現代の住宅内部の下地はほぼ石膏ボードです。
石膏ボード下地で左官仕上げの故障の原因はジョイント部分でのクラック。
ボードのジョイントで割れてしまうことがかなり多いです。
ジョイント部分でのクラックを防ぐにはボードをしっかりと止めてもらうこと。
現代の左官仕上げは3-4mm程度。その中で下地が動きを吸収して表面にクラックが出ないようにするというのはほぼ無理です。
そのため、NPO法人 湿式仕上技術センターの資料をベースに日左連で現代しっくいの推奨の下地を提示しています。
下地についてはしっくいまるわかり大辞典のWEBページに詳しく掲載されていますので、よろしければこちらもご覧下さい。
https://sikkui.net/donotofail/
そしてポイント「2.」の継ぎ目の少ないようにボードを貼る、
石膏ボードも横のジョイントが出ないように長さ8尺のボードを使用しています。
ジョイントが少ない方が割れるリスクも少ないので、左官仕上げには最適です。
ここからは左官でのクラックの発生を防ぐ方法。
ファイバーテープを幅の広い現代しっくい推奨のものを使用しています。
ジョイントのファイバーテープは幅が広いほど、面拘束力が大きくなり、強度が上がると言われているため、今回は幅200のファイバーテープを使用しました。
こちらがそのテープ。
通常使っているファイバーテープと比較するとこんなにも幅が違います。
この幅の広いファイバーテープでしっかりとジョイントを拘束します。
その上にしっくい用下塗り材を塗ります。
今回はマルチベースという下塗り材を使用しました。
パテ処理から下塗りまでの工程はタイムラプスでご覧いただけます。
動画:しっくい下塗りタイムラプス 住宅に施工【有限会社原田左官工業所】
そして、いよいよ現代しっくい仕上げ。
これが現代しっくい。
小さな白い骨材が入った現代しっくいを選びました。
しっくい施工中。
下塗り材も白いので違いが見えにくいですが、左から右へ塗り進んでいます。
模様はアートランダム。
動画:現代しっくい仕上げアートランダム模様【有限会社原田左官工業所】
鏝を8の字に動かし、模様を付けていきます。
シンプルですが、飽きのこない人気の模様です。
仕上がりがこちらです。
柔らかい鏝模様が広がる空間になりました。
リビングダイニングにも施工しています。
現代の空間に合う、まさに現代しっくいになったかと思います。
漆喰の機能はそのままに、現代の空間に合うようなしっくいに仕上がりました。
今、左官業界を挙げてしっくいをPRしています。
心地よい空間作りにお役に立てる「現代しっくい」を、是非あなたのお住まいやお店にいかがですか?
原田左官オリジナル現代しっくいについてはこちらのサイトからご覧いただけます。
WEBカタログ:オリジナル漆喰「フルーフレ」
https://www.haradasakan.co.jp/webcatalog/webcataharada/webcataff/
「現代しっくい」。
今、まさに求められている仕上げ材なのかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
お問合せ先
有限会社原田左官工業所
113-0022 東京都文京区千駄木4-21-1
電話番号:03-3821-4969 FAX番号03-3824-3533
左官のミライ通信「Sakan Concierge(左官案内人)」
発行元:有限会社原田左官工業所・株式会社エイチアール
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