左官アート事例:4種の技法が拓くデザインの可能性
代表の原田です。
今回は左官アートの仕上げについて。
岐阜県の高山グリーンホテル様にて施工した左官アートの事例をご紹介いたします。
仕上がりがこちら。

飛騨高山の雄大な自然と四季の移ろいを表現したこの壁面には、当社の左官技術が凝縮されています。点在する四角い焼き物は飛騨市内で焼かれたもので、壁面から浮かせることで奥行きとリズムを生み出しています。
設計・空間デザイナー様と打ち合わせで、「どのようなことが左官で実現できるか」をご理解ご理解いただいた上でデザイン案を作成、その後、デザイン案をもとに試作を重ね、実際に施工に至りました。
飛騨高山の厳しくも美しい風景を表す仕上げ、そのような仕事に当社の左官技術がお役立ちすることができ、非常に嬉しいです。
今回の左官アートの最大の特徴は、以下の4種類の技法を組み合わせた点にあります。
- 土壁(横縞模様)
- 掻き落とし(縦縞模様)
- プラスタル塗り版築
- 造形モルタル竹模様
土壁(横縞模様)
土壁は横に縞模様が入っているのが特徴的。

土壁の収縮性を利用し、下地の木材の配置によって横縞模様を浮かび上がらせました。



久住章氏が発案のこの施工法は札幌の中屋敷左官工業様のギャラリーで拝見し施工方法を教えていただきました。その後、久住章氏と現場を一緒に施工することがあり、久住氏から直接ご指導いただいた技術が活かされています。
私は昔の木摺り下地に左官材を塗る下塗りの際に浮き出る模様からヒントを得たのではないかと理解しています。土の素朴さがより現れる私も好きな施工方法です。

掻き落とし(縦縞模様)
横縞の土壁と対照的に、リシン掻き落としでシャープな縦縞を表現しました。


定木を用いることで、通常の掻き落としよりも深く、エッジの効いた仕上がりを実現しています。


プラスタル塗り版築
ポーラス状の独特な質感を持つプラスタル塗り版築は、今回はあえて塗り継ぎ模様を入れず、一面を多孔質の表情で仕上げています。


造形モルタル竹模様
内Rで制作した竹模様の造形モルタルは、照明によってその陰影が際立ち、空間に和の趣を添えます。


造形モルタル竹模様についての詳細はこちらの記事でもご紹介しております。
■【ミライ通信】施工事例:モルタルで和の空気を作る”竹”模様仕上げ
これら4種類の技法は、カーブを描く見切り材によって巧みに区切られ、飛騨高山の山並みを想起させるデザインとして完成しました。

この後に飛騨の焼き物をピンで浮かせて貼っていただき、完成となりました。





印象的な左官の壁面となりました。
左官工法は、その多様な表現力で空間に無限の可能性をもたらします。
私たち原田左官は、これまでの豊富な実績と蓄積された技術力で、皆様の創造的なアイデアを形にするお手伝いをさせていただきます。
当社の事例やサンプル集から、空間デザインの新たなヒントを見つけてみませんか?
既存の概念を超えた、新しい左官仕上げを共に創造できることを楽しみにしております。
ご興味をお持ちいただけましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
是非、あなたの空間で新しい左官仕上げを作ってみませんか?
この記事を書いた人
有限会社原田左官工業所代表の原田。
二級施工管理技士/左官基幹技能者/タイル検定二級。
(一社)日本左官業組合連合会監事及び青年部の副部長。
左官の講習会やワークショップを企画・開催し、左官の啓蒙活動を行っている。
建設業界のダイバーシティを推進し、女性の左官業界への参加の手助けや新しい人材の採用育成に力を入れている。
著書に「新たなプロの育て方」㈱クロスメディアマーケティング
「世界で一番やさしい左官」㈱エクスナレッジ