もう捨てない!廃材を活かすアップサイクルテラゾ®という選択
代表の原田です。
今回はアップサイクルテラゾ®仕上げのご紹介です。
廃材や使用済み材を活用し、模様として見せる人造石研ぎ出し仕上げ・テラゾ仕上げの施工例のご紹介です。

アップサイクルテラゾ®とは
アップサイクルテラゾとは、廃材を骨材として再利用して作られるテラゾ仕上げのことです。
テラゾや人造石研ぎ出し仕上げ(人研ぎ)は、砕石や骨材をセメントなどの固化材で固めて研磨し、美しい模様を表現する仕上げ方法です。このテラゾの製造工程において、本来は捨てられるはずだったさまざまな廃材を骨材として混ぜ込むことで、環境負荷を低減しつつ、新たなデザイン性と価値を生み出すことが出来ます。
テラゾは細かくなってしまった石の粒を固化材で再度固めて人造石としてよみがえらせたもので、元々アップサイクルの観点があります。そのテラゾに廃材を混ぜこむことでリサイクルからさらに価値を高めるアップサイクルの段階に持っていく、それがアップサイクルテラゾ®です。
原田左官ではアップサイクルテラゾ®を登録商標にし、サスティナブルな観点も含め、正しい施工を行うことを広報しています。

アップサイクルテラゾ®推進の背景
現在、テラゾ・研ぎ出し仕上げがリバイバルブームです。
その理由は下記のような点があります。
・研磨機・集塵機の進化
研磨作業は以前は砥石で、また小型の研磨機で磨くことが通常でしたが、機械が進化し、研磨の精度とスピードがUPしました。また、R面もきれいに仕上げられる研磨の刃の開発などによって、曲面もきれいに仕上げられるようになりました。
また、過去は粉塵が出ることで現場での施工が嫌われた仕上げ方ですが、現在は集塵機の進化により、ほぼ粉塵が出ない状態で作業が出来るようになりました。
・弾性セメントの普及
主にセメント材を使うテラゾ仕上げは下地の動きがあるとクラックが入ってしまうという弱点がありました。2010年代以降の弾性を持つ樹脂複合型の研ぎ出し用セメントの発売・普及により、テラゾ仕上げでもクラックが入りにくくなりました。それにより木下地の上にもテラゾ仕上げをすることが可能になり、爆発的に普及することになりました。また、研ぎ出し用セメントは表面強度も強く、従来の研ぎ出し仕上げには使いにくかった骨材も混入することが出来るようになりました。
その代表的な商品がビールストーン、グランツフィニッシュです。
・シームレスな表現への需要
人が手を動かし塗って仕上げるテラゾ・研ぎ出し仕上げはタイルのような目地が発生せず、設計士・空間デザイナーのシームレスな表現への需要に答えることが出来ました。
また、研磨機の進化により曲線もシームレスに仕上げることが出来ます。
テラゾ・研ぎ出し仕上げのリバイバルブームにより、新たな表現も求められるようになりました。その一つの回答がアップサイクルテラゾです。
廃材を再利用することでサスティナビリティへの貢献や今までなかった意匠性を持たせることが出来ます。
アップサイクルテラゾの主な特徴とメリット
・サステナビリティへの貢献:
廃材を再利用するため、資源の有効活用とゴミの削減に貢献します。
アップサイクルテラゾで使用できる廃材の量には限界がありますが、仕上げ材として廃材の断面を見せることで、サスティナビリティへの貢献する姿勢を伝えることが出来ます。
・高い意匠性
混ぜ込む廃材の種類や色、形、大きさによって、無限とも言える多様なデザインを生み出すことができます。従来のテラゾでは表現できなかった、ユニークで個性的な空間を演出できます。
・ストーリー性
廃材が新たな価値を生む仕上げであるため、その背景にある物語やメッセージを空間に込めることができます。
廃ボトルのガラスやお茶の出涸らし、元々あった建物の建築廃材、貝殻やもみ殻などの食品廃材、工場の部品など様々な種類のアップサイクルテラゾ®が考えられます。
・活用の幅広さ
床、壁、カウンター、家具など、様々な場所や用途に使用が可能です。
アップサイクルテラゾ®の施工例 4選
・くるみ殻入りビールストーン
くるみの殻をビールストーンの中に散りばめています。
ナチュラルな風合いと独特な質感を持つ趣のある仕上げになりました。



くるみの殻はガーデニングでの使用や燃料・研磨剤などで再利用されますが、このようにテラゾに入れることで新たな見せ方が出来ます。

テラゾ仕上げでは冷たい印象を与えがちですが、くるみの殻を入れることでナチュラルで温かみのある質感になっています。
物件:三井ホーム新木場オフィス
撮影:生熊友博
・廃棄される九谷焼の欠片を混入したテラゾベンチ
製造過程で規格外になった九谷焼をテラゾの骨材としてアップサイクルした例です。




大きな塊の九谷焼を混入しているので、表面に出てくる形状も石材とは違い、面白い表情を作り出しています。
物件名:玉川髙島屋SC本館2F
設計:有限会社永山祐子建築設計
撮影:阿野太一
・古い瓦を骨材としてアップサイクルした例
古い瓦を砕き、骨材として使用しています。瓦は砕いて中を見ると単色ではなく、濃い部分・薄い部分と出てきます。単色ではない焼き物のグラデーションがあり石ではない面白い表現になりました。アクセントに白い石を入れています。





・プラスチックのカップを入れアップサイクルした例
プラスチックのカップを砕き、骨材としてアップサイクルした施工例。
プラスチックカップの薄いブルーの透明感が美しい質感を作り出しました。




まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、アップサイクルテラゾ®についての解説と活用シーンについてご紹介しました。
空間デザイナーの皆様、是非アップサイクルテラゾ®を活用して、唯一無二の空間デザインを作り上げてはいかがでしょうか?
この記事を書いた人
有限会社原田左官工業所代表の原田。
二級施工管理技士/左官基幹技能者/タイル検定二級。
(一社)日本左官業組合連合会監事及び青年部の副部長。
左官の講習会やワークショップを企画・開催し、左官の啓蒙活動を行っている。
建設業界のダイバーシティを推進し、女性の左官業界への参加の手助けや新しい人材の採用育成に力を入れている。
著書に「新たなプロの育て方」㈱クロスメディアマーケティング
「世界で一番やさしい左官」㈱エクスナレッジ























