大津壁について

大津壁について

大津壁について (原田宗亮)


今回は土もの「大津壁」についてです。

大津壁とは、土にスサと少量の石灰を混ぜた材料を塗りつけ、
鏝で何度も押さえることで緻密な肌に仕上げる土壁のことを言います。
 大津壁は滋賀の大津がその名前のルーツになっています。
滋賀の大津には江州白土と呼ばれる磨き壁に適した土が取れ、
その工法が全国に広まったので大津壁と言われるようになりました。

大津壁は大きく分けて3種類あります。

・泥大津
・並大津
・大津磨き

泥大津は、川や田んぼの土などのうわずみ(きめの細かい部分)を取り出し石灰を混ぜ、
磨き壁にしたものです。 大津壁の中では比較的リーズナブルに施工できる壁です。

並大津は、色土を用い、石灰と紙スサを混入し、鏝で押さえた仕上げです。
黄色や赤など鮮やかなものが多く、また、磨きこみすぎず、光沢を押さえたマットに仕上るため、
上品な印象を与えます。


大津壁で一番ポピュラーな赤。深みのある色が特徴です。


赤の次の多い黄大津。上品な色に仕上がります。

大津磨きは大津壁の最高級の仕上げであり、
並大津のように色土に石灰と紙スサを混ぜたものを、
鏝でしっかりと何度も押さえることで光沢を出す仕上げです。

鏝を押さえるタイミングの見極め、
スピードなど非常に高度な技術を必要とすること、
配合する材料についても経験と知識が必要になること、
また、大津磨きのための専用の鏝が必要になるため、
施工できる左官職人は限られている貴重な仕上げです。

また、均一に色むらなく同じ光沢で仕上げるには、
塗りつけた材料が磨きの出来るわずかな時間の間に鏝を当てていかなければならず、
1日1人1㎡~3㎡程度を仕上げるのが精一杯の壁です。


写真では伝わりにくいですが、ピカピカの仕上がりです。

大津壁の基本的な工程は、

1.中塗り土などの下地の上に灰土(はいつち)と呼ばれる下塗りを行い、
2.次に引土(ひきつち)という上塗りの土を塗ります。
3.水引きのタイミングを見て磨き鏝を何度も当てて、鏝を当てても状態が変わらなくなったら、
4.ビロードの布を表面に軽く当ててこすり、光沢を出していきます。
5.その後、手のひらで磨く「手ごすり」を行います。

大津壁の光沢を保つにはメンテナンスが重要で、
雑巾戻しという固しぼりしたきれいな布で壁を拭き、再度手ごすりを行います。
これを繰り返すことで光沢を長く保つことが出来ます。


大津壁は大面積で施工できなかったことと、
鏝を何度も当てて表面を緻密にするため、
強度があり水もはじく等の理由から、
昔は床の間や洗面所、台所の壁など小壁でポイント的に用いられました。

今では他の建材の発達により、あまりそういった部分では使われていませんが、
ペンキとは違い、その光沢には深みがあり、今価値が見直されてる仕上げの一つです。

現在では石灰クリームを用い、アレンジした現代大津磨きという壁も開発されています。
現代大津磨きの良さは、
石灰クリームを用いることで、
光沢が出やすくなった、光沢が出る鏝を当てる時間を長くすることが出来たことです。
施工性がよくなり、従来の大津壁ではありえなかった曲面への施工も可能になりました。



最近流行っている光る泥団子も石灰クリームに土を入れて光沢を出しているものもあります。



大津壁も石灰クリームの出現により、少し身近な壁になっています。



石灰クリームを用いた現代大津磨きは、
大津磨き継承の第一人者と言われている小沼充さんが発展させた技法です。
雑誌「コンフォルト」でも見事な技が掲載されています。



M&S 059

床に現代大津磨きを施工しためずらしい例です。
小沼充HP
http://konumasakan.blog117.fc2.com/


大津壁は増えつつありますが、難しい技術であり、貴重な壁です。
実物を見学されたい方は富沢建材さんの展示室に見本がありますので、
是非ご覧下さい。(事前連絡必要。)



富沢建材HP
http://www.tomizawakenzai.com/


土の色を生かした深みのある光沢、
是非、ご提案に取り入れてはいかがでしょうか?

最後までお読みいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

お問合せ先

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