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人材育成について

人材育成について

人材育成について (原田宗亮)

 

左官は今でも人が現場で鏝を使って仕上げる仕事です。
乾式のものと違い、腕(技術)による仕上がりの差が非常に出やすいという点があります。
しかし、左官の職人は全国的に大変少なくなっています。
これは以前から言われていたことなのですが、建築業の中で特に左官は職人が超高齢化しています。
平均年齢が60歳前後とも言われています。
(よく現場でも若い左官屋さんを見たことが無いと言われることもありますが)

また、左官は建築業の中でも育成するのに時間が掛かる業種だとも言われています。
モルタル仕事から仕上げの漆喰など、一通りの仕事を覚えるまでだいたい10年程度経験が必要です。
左官の職人の育成には時間が掛かります。

育成に時間が掛かる左官ですが、職人たちの平均年齢が60歳であり、
引退のスピードと育成のスピードが間に合わず、職人の数が減少しているのが現実です。

過去、左官職人の育成は4年~5年程度の見習い期間を経て職人になるという仕組みでした。
見習い期間は鏝を持たせず、掃除・材料作り・運び等下働きをして現場での動きを体に染み込ませて、
職人が作業していることを「見て習う」という育成方法でした。
この「見て習う」ということから、
「見習い」という言葉が出来ました。

この昔の育成方法の良さは

・ 職人としての動き、所作がみっちり叩き込まれる
・ 見習い期間を耐えるため根性が身につく
・ 塗りたい、うまくなりたいという気持ちが強くなるため、その後の成長が早い

という点がありました。

しかし、その方法だと

・ 育成に時間が掛かる
・ 塗れるようになるまで時間が掛かるので仕事が面白くなる前にやめてしまう

ということがあり、
現代ではあまりマッチしない育成方法のようです。
先日、現代左官の第一人者久住章さんにお話しを聞きましたが、
昔の方法は、段取りが付いて塗る作業だけになったら、
見習いはただ見てるだけになってしまい、無駄が多かったとおっしゃっていました。

昔と現代の違いは左官材料にもあります。

昔は砂をふるって粒度を揃えたり、
ツノマタを炊いて漆喰を作ったり、
荒壁を足で捏ねて寝かせたりと、
材料を作るために行う見習いの作業はたくさんありました。

現代は左官でもプレミックスの材料(水を混ぜれば塗れる状態になるもの)が多くなり、
また材料自体も25kg、20kg、それより軽いものと持ち運びやすくなりました。
(昔のセメントは50kgでした。)
そのため、材料つくりまでの見習いの仕事は少なくなりました。

左官の世界もそのように変化があったので、
育成方法をそれに合わせて変えていく必要があります。
そのため考え出されたのがうまい人の塗り姿を真似をして覚える
「モデリング」という手法です。
先ほどの久住章さんの中塗りをしている姿をビデオ撮影し、その手順を見て見習いに真似をさせます。

久住章さんの中塗りのビデオ

動画:久住章さん左官基礎トレーニング

それを見て繰り返し練習し、塗る手順、型を真似します。
そうすることで現場に出ていなくても、訓練することができ、早く塗れるようになります。
今までの育成ではありえないくらい短期間で、中塗りが出来る職人を育成することが出来ます。

左官基礎トレーニング 2012/05/11

動画:左官基礎トレーニング Y君 2012/05/11(初年度)

左官基礎トレーニング 2013/03/27

動画:左官基礎トレーニング Y君 2013/03/27(1年後)

1年間でここまで変わります。

この育成方法「モデリング」は特にスポーツの分野で多く使われています。
ゴルフのレッスンビデオもそうですし、ゴルフに限らず、
体操や水泳選手で若い年齢層がどんどんオリンピックに出られるのは
「モデリング」の手法を用いたスピード育成にあるようです。

みんなでやることにより連帯感が生まれます。


練習場はいつも多くの人で盛り上がっています。


左官の場合、うまい人をモデルにし、真似るというのは
「見て習う」という本来の見習いの育成方法です。
それをビデオを使って現代風にアレンジし、今の若い人に分かりやすくシステム化したものです。
今はビデオがあるので見習いの塗っている姿をビデオに撮り、
真似をしていない部分や不自然な部分を自分で確認することも出来ます。

映像を出来るだけ残すようにしています。


撮影した映像を元に課題や成長した点を確認します。


現在は中塗りモデリングビデオのほかに、日左連で作成した、洗い出しモデリングビデオもあります。

日左連 洗い出しモデリングDVDのページはこちら
日本左官業組合連合会:DVDの購入のご案内
http://www.nissaren.or.jp/dvdshop
(職人育成の教材としてだけでなく、左官技術の解説としても面白い映像になっています。)

これから、他の技法もモデリングビデオが作成される予定です。
そうやって私たち左官業界では職人育成に力を入れ、
左官を目指す若者を増やそうと努力をしています。

その中で原田左官では今回、
人材育成について2つの賞を受賞することが出来ました。


東京都人材育成大賞


キャリア形成支援企業 厚生労働省大臣賞


これはモデリングビデオによる育成や職人を守りキャリアを形成させていく、
という当社の今までの取り組みが認められたものだと感じており、
大変うれしいことです。

職人育成は人を育てることでもあります。
原田左官では技術だけでなく、
人間としての育成にも力を入れていきたいと思います。


最後までお読みいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

お問合せ先

有限会社原田左官工業所
113-0022 東京都文京区千駄木4-21-1
電話番号:03-3821-4969 FAX番号03-3824-3533

左官のミライ通信「Sakan Concierge(左官案内人)」

発行元:有限会社原田左官工業所・株式会社エイチアール
発行責任者:有限会社原田左官工業所 原田宗亮
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