陰影をつけた磨き仕上げ

陰影をつけた磨き仕上げ

陰影をつけた磨き仕上げ(原田宗亮)

 

今回は陰影をつけた磨き仕上げについてお話させていただきます。

左官の磨き仕上げとは、
専用の材料を塗りつけた後、鏝を何度も当てて表面を緻密にし、磨き上げるという仕上げです。
(機械で研磨して表面を磨き上げるものとは異なります。)

左官の磨き仕上げの種類としては大きく分けて土系、石灰系の2種類があります。
土系は大津磨きに代表される土を主材料したものです。


(大津磨き 赤)


(埼玉 遠山記念館の大津磨き)

一方、石灰系は
イタリアンスタッコや漆喰ノロ、石灰クリームのように石灰を主材料にしたものです。


(イタリアンスタッコ見本)




(黒漆喰 磨き仕上げ)

2つの違いは主材料の違いにより、光り、艶の出方が違います。
一般的には、大津磨き・土系の磨きは深みのある艶が出て、
石灰系の磨きのほうはピカピカな艶が出るものが多いです。

大津磨きなど土系の磨き仕上げは非常に金額が高くなります。
材料作りから特殊な工程が掛かることと、
仕上げるために専用の鏝道具が必要になり、
尚且つ、大津磨きに精通した熟練の技術が必要になります。
その上、名人でも1人で1坪程度の壁を1日かけて仕上げるという手間が掛かる仕上げなので、
左官の中でも最高級な仕上げの一つと言われています。
(2万~5万/平米程度、大津磨きにも種類があり、それぞれ金額が違います。)

一方、石灰系の磨き仕上げは大津磨きほど金額は高くなく、洋風に模様を付けて仕上げるものが多いです。
(8000~15000/平米程度)

鏝の塗りつけ方で模様を付け、鏝で磨いていくことでピカピカな壁を作ります。
艶は大津磨きよりも出やすいですが、薄っぺらい印象がある、
深みが出にくいと感じられることも多いようです。

そして、今回のテーマである「陰影をつけた磨き仕上げ」に繋がっていきますが、
大津磨きのような深みがあり、石灰系の磨き仕上げのような艶感を出した材料がないかという要望があり、
深みがあり、艶がある「陰影をつけた左官仕上げ」が出てきました。

この工法は粗い骨材入りの材料を模様付けで下塗りし、
その上に左官磨き用の材料をかけ、下地の凹凸感を表面に出すことで、
ツルツルで光沢のある表面なのに、厚みが感じられる仕上げになっています。





古くはイタリアの左官技法でカルチェラザータというものがあり、
下塗りの骨材が表面に出てくることでカルチェラザータ=イタリア語で髭剃り後の肌という意味の表情になります。
ツルツルだけれども厚みを感じさせた仕上げが欲しいという要望から日本でも流行した仕上げです。


(カルチェラザータ仕上げ)

現在はそれ以外にも、
水硬性石灰を小石で当てて磨いていくモロッコの「タデラクト」という仕上げもあります。




(タデラクトサンプル作成)

原田左官でもオリジナルで「ムラリオ」という陰影をつけた磨き仕上げを施工しています。
アートランダムや引きずりなどの下塗りのテクスチャーを活かし、
石の様な表情を持った左官磨き仕上げです。
(ムラリオ=murario とはイタリア語で壁を意味する形容詞で、左官・石すべてを含む壁造りを意味する言葉)

ムラリオカタログ









この特徴は黒系の下塗りに黒系の磨き上塗りをかける事で濃い色合いを表現できることです。
黒に青を組み合わせることでインクの深いブルーのような色合いを出すことが出来ます。
黒+赤や他の組み合わせも出来ます。





特注で青+白の組み合わせで作成した事例もあります。


左官の特徴である厚みを持たせる、シームレスに施工できる特徴を活かした
「陰影のある磨き壁」

是非、デザインの一つに取り入れてみてはいかがでしょうか?


最後までお読みいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

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