左官の書籍紹介(原田宗亮)

左官の書籍紹介(原田宗亮)

今回は左官関連のお勧め書籍についてです。

左官の書籍という調べ方をすると左官の施工法などを解説した書籍が多く出てきますが、
左官の魅力というとやはり「仕上げ」左官の分野になると思います。
今回は、仕上げ左官の分野にまつわる書籍をご紹介したいと思います。

コンフォルト 2011年2月号 はじめての左官
出版社:㈱建築資料研究社

スペイン語で「居心地が良い」という意味の建築雑誌。
1年に1回程度左官の特集を組まれることがある。
コンフォルトの過去の左官特集とは違い、この号は「はじめての左官」ということで、
これから知っていこうという人に対して読みやすい内容になっている。写真が大きいのも特徴。


土と左官の本1・2・3・4
出版社:㈱建築資料研究社

「コンフォルト」の左官特集の別冊。
隔月の「コンフォルト」とは違い、
久住章氏や挟土秀平氏など有名な左官職人さんをフューチャーした記事が多く、
土壁や漆喰、特殊左官仕上げなど、左官のコアなファン向けの紙面になっている。
土のワークショップの記事やアフリカのマリの泥のモスクの写真など、
まさに、「土と左官」が全面に出ている濃い内容になっている。
今のところ1~4号まで出版されている。


建築知識
出版社:株式会社エクスナレッジ

建築の用語説明や「納まり」「ディテール」の解説特集が多い。
付録DVDによる動画での説明もある。
下地をどのように作ればよいかなど実践に役立つ具体的な説明が多い。
年に1回程度左官の特集号が組まれ、過去には別冊で左官見本の写真集が付いている号もあった。
左官屋さんと実際にやりとりする方に向いている。


iA(アイエー)
出版社:株式会社エクスナレッジ

写真を全面に出し、デザインに重点を置いている書籍。
No.11号は左官と塗装の特集を行っている。
仕上げ見本の写真も1ページ分のスペースを使用しており、大きくて見やすい。
デザインの仕事をされている方には是非読んでいただきたい本。
季刊で発行されていたが、現在は休刊している。


チルチンびと 別冊「左官と建築」
出版社:風土社

チルチンびとの別冊であり、元左官教室の小林澄夫さんの責任編集号。
土と陰影の小林氏の世界が展開されている。
全国「塗り壁」散歩では各地の左官仕上げを知ることが出来る。
小林澄夫ワールドが好きな方は是非。


世界で一番やさしい左官
出版社:㈱エクスナレッジ

巻頭の左官仕上げや道具のカラー写真が充実している。
「仕上げ編」「材料編」「施工編」「左官を知る編」と、
4つの章で合計80のキーワードに分け、左官について解説をしている。
左官の入門書として、タイトルどおり「一番やさしい」左官の本となっている。
弊社代表、原田宗亮が執筆しています。


日本の壁 鏝は生きている
出版社:イナックスブックレット

近代の左官博士 山田幸一氏が監修し、藤森照信氏、佐藤嘉一郎氏などが寄稿した本。
本聚楽壁、ホタル壁、螺鈿の壁など貴重な壁の写真も見ることが出来る。
学術的に土壁の伝統と現在を見直している記事が多く。文章に重みがある。


壁の遊び人 左官・久住章の仕事
出版社:世織書房

現在左官の第一人者、久住章氏の半生を綴ったもの。
左官教室 小林澄夫氏との出会いと建築家とのコラボレーション、
ドイツ アーヘン大学で土壁の講師を引き受けたこと、
伝説のホテル川久 石膏マーブル磨きなど、様々な偉業を裏話も含め、知ることが出来る。
新しい壁に挑戦する時に、極端な配合で材料を作り、徐々に塗りやすい配合後探っていくなど、
左官のプロが読んでも参考になる。久住氏が語ったものを文章化しているため、読みやすい。


土壁・左官の仕事と技術
出版社:学芸出版社

京都の左官 佐藤嘉一郎氏、佐藤ひろゆき氏親子によって書かれた本。
京都の左官だけに土壁に特化して書かれている。
土壁の歴史や材料配合のこと、職人としての心構えなど参考になる点が多い。
佐藤ひろゆき氏は京都工芸繊維大学で左官職人としては初の博士号を取った方で、
土壁の耐震性や有害物質の吸着性、耐火性についての研究も見逃せない内容になっている。


のたうつ者
出版社:毎日新聞社

世界的に活躍しているカリスマ左官職人 挟土秀平氏の今迄を綴った書。
野丁場の左官会社の二代目であった著者がどのようにして「土」に目覚め、
芸術の域にまで左官を昇華させていったかを物語り形式でドラマチックに書かれている。
「土は人を裏切らない。そう俺は信じている。」(本文より引用)など、
小林澄夫さんの世界に通じる部分がある。挟土氏の過去の仕事にも多く触れている。


左官礼賛1・2
出版社:石風社

左官・土壁への礼賛を綴った詩集のような書籍。
月刊誌「左官教室」の編集長であった小林氏が、
日本の高度成長期に建築の近代化に嫌気が差していた時に、
奈良で泥壁の納屋の美しさに心を打たれる。
それから、伝統的な土壁や左官の普請現場を訪ねる日々が始まり、
土、水、左官、職人を称える文章を書くようになっていった。
そして、近代化によって左官が消えていくことを嘆いた。しかし、その儚さも左官なのだと綴る。
我々現代の左官にとっては一番の応援誌である。


漆喰復活 天然建材5000年の底力
出版社:彩流社

漆喰メーカーの田川産業代表の行平信義氏が用語監修をした書。
人と地球に優しく安価で安全な建材といわれた石灰・漆喰。
それがなぜ、衰退していったのか、
また、現代において復活し始めているのはなぜなのか、を綴っている。
本書が発売当初のものにはなるが漆喰建材の一覧とレヴューが掲載されていて、
様々な漆喰を調べるには最適の書。焼かない建材漆喰タイルの開発秘話も掲載されている。


記述に偏っている部分も多々あると思いますが、最後までお読みいただきありがとうございました。

原田左官は2012年も左官を広めること、職人を育成していくことに力を入れていきます。
これからもよろしくお願いします。

お問合せ先

有限会社原田左官工業所
113-0022 東京都文京区千駄木4-21-1
電話番号:03-3821-4969 FAX番号03-3824-3533

左官のミライ通信「Sakan Concierge(左官案内人)」

発行元:有限会社原田左官工業所・株式会社エイチアール
発行責任者:有限会社原田左官工業所 原田宗亮
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メールアドレス:sakan@haradasakan.co.jp

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