洗い出し(人造石洗い出し仕上げ)について

洗い出し(人造石洗い出し仕上げ)について

洗い出し仕上げについて (原田宗亮)

 

洗い出し仕上げとは、
セメントモルタルに色石など大きめの骨材を入れて塗りつけ、
完全硬化する前に噴霧器やブラシで水洗いして、石の頭を表す仕上げのことです。




(写真のものは壁面、笠木も洗い出し仕上げです。)

文字通り「洗い出す」ので洗い出し仕上げと言っています。
洗い出し仕上げは大きな骨材が入るため、モルタル仕上げよりも丈夫です。
(セメント系の材料は骨材が大きくなるほど仕上がったものは硬くなります。モルタルよりもコンクリートが硬いのは入っている骨材が大きいからです。)
そのため、昔から 玄関床、立ち上がり、お寺の腰壁、商店の正面の壁、等に使われていました。



洗い出し仕上げの技術的に難しいところは、
種石をしっかり詰めて塗りつけることと、表面のセメント分を洗い出す作業とタイミングの見極めです。



種石が入ったモルタルは、
入れないモルタルに比べるとゴワゴワ(ゴロゴロ)しており、塗りにくい状態になっています。
これを壁面でもしっかりと石が均一に詰まっている状態に塗りつけるには、
厚塗りが出来るしっかりとした左官の技術が必要です。



材料を塗りつけて、しっかりと伏せこみ、
完全硬化する前に表面のセメント分(これをアマと言います。)を洗う(またはふき取る)作業をしますが、
そのタイミングが重要です。
タイミングが早いと材料がまだやわらかく、残ってほしい部分まで洗い流されてしまいます。
タイミングが遅いとセメントが硬化してしまい、洗い出せなくなってしまいます。
(洗い出せなくなる状態を焼きつきと言います。)

夏場と冬場では、当然洗い出すタイミングも違ってきます。
材料の都合に合わせて仕事を進めるのも左官工事の難しいところですね。
今は洗い出し用にセメントの硬化を遅らせたり、
タイミングが多少遅くても塩酸を使ってきれいに洗い出せるフォローをする材料もあります。

しかし、本来の洗い出しの基本工法はしっかりと受け継いでいってほしいものです。
そんな中、伝統工法である洗い出しの技術を納めたDVDビデオが発売されました。

「匠の技は目で盗め!」プロフェッショナル左官の仕事 人造石洗い出し仕上げ 壁編


動画:人造石洗い出し仕上げモデル
予告編がユーチューブにアップされています。

九州の荒木富士男さんという洗い出し仕上げの第一人者が実演・解説付きで、
洗い出し仕上げの全てを噛み砕いて教えています。
設計・デザインの方が見ても非常に見ごたえのあるものになっています。
ご興味がある方は是非どうぞ!

日左連DVDのHPへ
日本左官業組合連合会:DVDの購入のご案内
http://www.nissaren.or.jp/dvdshop


洗い出し仕上げは、和風で昔のデザインだと思われがちですが、現在もアレンジされて使用されています。
洗い出しにガラスやビー玉、貝殻などを入れて仕上げるなど、
入れる骨材をこだわってみる方法や、
モルタルの部分を白やベージュなどに変えてみることで、
洋風なデザインにあるものが出来ます。







また、骨材を入れるのではなく、
発想を変えて、骨材を入れずにモルタルをそのまま洗いだして砂目を出しても、非常にきれいです。



よく左官は機能とデザインを兼ね揃えていると言われていますが、
洗い出しはその良い例だと思います。
丈夫で様々なアレンジが可能な洗い出し仕上げ。

是非、あなたのデザインの中にもう一度取り入れてみてはいかがでしょうか?

サンプル作成例はこちら
ただ今開発中「ガラス洗い出し1」

施工例はこちら
ブログ:ガラス洗い出し仕上げ
https://www.haradasakan.co.jp/2728/

最後までお読みいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

お問合せ先

有限会社原田左官工業所
113-0022 東京都文京区千駄木4-21-1
電話番号:03-3821-4969 FAX番号03-3824-3533

左官のミライ通信「Sakan Concierge(左官案内人)」

発行元:有限会社原田左官工業所・株式会社エイチアール
発行責任者:有限会社原田左官工業所 原田宗亮
HomePage:http://www.haradasakan.co.jp/
メールアドレス:sakan@haradasakan.co.jp

PAGEの先頭に戻る